戦略計画の作成の基本
戦略的プランニング プロセスは時間がかかりますが、非常に大きなメリットが得られます。正しく行えば、戦略計画は会社の優先順位に沿って関係者を巻き込み、調整することを可能にします。
戦略的プランニングは、戦略策定または分析と評価とも呼ばれ、細部にまで注意を払う必要があり、後続のステップや定期的な更新をフォローできる人が担当する必要があります。戦略計画は静的な文書ではなく、社内外の状況の変化に応じて変更されます。
戦略的プランニング プロセスを開始する前に、経営陣、取締役会、その他のリーダーからの賛同を確実に得る必要があります。上層部の賛同なしにプロセスは成功しません。
次にプランニング チームを編成します。このグループには、さまざまな部門のさまざまなレベルのメンバーを含める必要があり、プランニング プロセスは、グループ内でのオープンで自由なディスカッションでなければなりません。リーダーにとって、グループ全員の意見を聞くことは大切ですが、必ずしも全員の同意を得る必要はなく、プロセスの遅延を招きます。
プラン作成者は、最終プランのまとめと記述に責任を負い、少人数のライター グループと協力して、最終的な文書やプレゼンテーションのトーンとスタイルを確立し、標準化する必要があります。
場合によっては、戦略的プランニング プロセスを促進するために、外部組織を利用することも検討してください。
ブライソン氏は、ファシリテーターは組織の内外のどちらの人物でも構わないが、経験が必要だと指摘します。「その人物の能力を確認する必要があり、そのためには審査プロセスが必要です。」と同氏は言います。
ファシリテーターの経験を評価する方法の 1 つが、会話の進め方を尋ねることです。「ファシリテーターは、質問をすることで会話をリードできなければなりません。」とブライソン氏は言います。
ブライソン氏は、強力なファシリテーターはしばしば次の質問をすると言います。
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私たちは現在どのような状況に置かれているか
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私たちは何を行うべきか
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それをどのように行えばよいか
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目的と機能をどのように結び付けるか
またファシリテーターは、アイデアの創出と判断を切り分けることで、対立に対処し、緊張を緩和する能力も必要とされます。「対立は戦略的プランニングの一部です。」とブライソン氏は認めます。「(ファシリテーターは) 賢明な選択を行うのに十分なアイデアを引き出すために、率直な会話を十分な時間にわたって維持する必要があります。」
外部の支援者は、プロセスの結果に感情移入しないため、内部のファシリテーターよりも効果的な場合があります。彼らはプロセスに集中し、厳しい質問をすることができます。
戦略計画とは、会社の現状を詳細に説明し、将来の計画を概説し、目標にどのように到達できるかを示す動的な文書やプレゼンテーションです。このプロセスにはさまざまなアプローチが存在し、何を組み込むべきかについてもさまざまな考え方がありますが、いくつかの一般的なコンセプトが存在します。
「戦略的プランニングは、戦略的な思考、行動、学習を促進するファシリテーターです。」とブライソン氏は言います。同氏は多くの場合、次の 3 つの質問でプロジェクトのプランニングを開始すると説明します。
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何を行いたいか
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それをどのように行いたいか
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それを実行できたらどのような成果が得られるか
これらの質問に対する答えは、プランニング文書の要点を構成します。
戦略計画は、組織がプログラムや能力を通じてその使命を果たしつつ、関係者の関与を促すことを目的とするため、その記述や考え方が明確である場合にのみ効果を発揮します。
質問 1: 私たちは今どこにいるのか
最初の質問 (私たちは今どこにいるのか) に対する (1 つまたは複数の) 答えは、組織の基盤に関連するものであり、戦略計画における以下のセクションの概要として機能します。
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ミッション ステートメント
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基本的価値観と指導原則
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競合する組織の特定
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業界分析 (SWOT 分析または PEST 分析を含めることが可能)
質問 2: 私たちはどこに向かっているのか
この質問に対する答えは、会社の将来的な目標を特定し、正しい軌道を進んでいるかどうかを評価するのに役立ちます。計画のこうした側面は、成功するための戦略を概説するもので、次のものが含まれます。
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会社の将来像についてのビジョン ステートメント
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(社内外の両方で) 何が起こっており、何を変える必要があるか
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成功に必要な要因
質問 3: どのようにそこに到達するか
この質問に対する答えは、ビジョンを達成するために選択可能な多くのルートを概説し、自社の強みと市場の機会を一致させる上で役立ちます。これらのイニシアチブの計画および追跡には、ガント チャートを使用できます。
以下のセクションを含める必要があります。
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具体的で測定可能な目標
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中間目標
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誰が計画を管理および監視するかを明記した実行計画
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実施に伴う成功と挫折を測定する方法を明記した評価計画
戦略計画の作成方法
チームを編成し、用語を定義できたら、戦略計画を記述することによりアイデアを形にします。戦略計画は、文書、プレゼンテーション、またはその他の形式をとる場合があります。
戦略計画の作成には、さまざまなモデルや形式を使用できます (詳細はこの記事をご覧ください)。ただし、どのような方法を選ぶにせよ、(順序や提示方法は異なるとしても) いくつかの基本的なセクションを含める必要があります。また多くの場合、戦略計画の各セクションは互いに関連しているため、順番どおりに書く必要があります。
ヒント: 陳腐な決まり文句や漠然とした表現は避けてください。たとえば、最大化や成功といった単語を使用するとパンチ力が失われます。さらに戦略的プランニングでは、同じ対象に対してさまざまな用語が使われることにも留意してください。
以下のセクションでは、戦略計画の一般的なセクションの書き方を説明します。
エグゼクティブ サマリーの書き方
強力なエグゼクティブ サマリーを書く鍵は、明確かつ簡潔であることです。このセクションに何もかもを入れようとしてはなりません。エグゼクティブ サマリーは、1 ~ 2 ページ程度にまとめ、戦略計画の要点だけを含めるようにします。
読者の興味をそそり、計画の残りの部分を読む気にさせることが大切です。エグゼクティブ サマリーは文書全体のレビューとして機能するため、戦略計画の残りの部分を書き終えた後に作成します。
効果的なエグゼクティブ サマリーの作成、チェックリスト、無料のテンプレートの詳細については、この記事をお読みください。
1 ページのエグゼクティブ サマリーが必要な場合は、含める情報を決定する上で、このテンプレートが役立ちます。
1 ページのエグゼクティブ サマリー テンプレートをダウンロード
会社の説明の書き方
エレベーター ピッチとも呼ばれる会社の説明は、組織の概要と事業内容を簡潔に説明するものです。エレベーターに乗っている平均的な時間内に読んだり聞いたりできる程度の短さにする必要があります。
会社の説明には、会社の歴史、提供している主な製品やサービス、ハイライトや実績などを記載し、次のようなことを達成する必要があります。
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どのような会社であるかを明確に定義する。
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事業内容を説明する。
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理想的なクライアントと顧客を特定する。
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自社の差別化要因を取り上げる。
これらは基本的情報ではありますが、会社の説明は、会社の成長や変化に合わせて変わります。たとえば 5 年前の理想的な顧客は、現在の基準や 5 年後に求められる顧客とは異なっている可能性があります。
会社の説明は組織内の全員と共有する必要があります。従業員が自社の事業内容を正確に説明できなければ、機会を逃す可能性があります。
ミッション ステートメントの書き方
ミッション ステートメントは、会社が達成しようとしていることを説明するものです。ミッション ステートメントは、会社全体の指針となるだけでなく、従業員が全社的な使命と目標に沿って意思決定を下す上でも役立ちます。
「理想的には、(ミッション ステートメントは) 会社が最上位レベルで何をしようとしているのかを説明するものです。」とマックナーニ氏は言います。「それは会社が存在している、あるいは行っていることの理由です。」
強力なミッション ステートメントは、競合他社との差別化を図り、目標に向かって着実に進む上で役立ちます。また組織のキャッチフレーズの一種としても機能します。
ミッション ステートメントでは、次のことを行う必要があります。
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会社の目的を定義します。何をしているのか、誰のためにしているのか、その行動になぜ価値があるのかを明確にしてください。
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具体的でわかりやすい言葉を使います。
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刺激的なものでありながら、現実的であることが大切です。
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短く簡潔にします。
これは会社が、目標、文化、倫理に基づいて意思決定を行う方法を定義する機会です。ミッション ステートメントは、漠然とした一般的な内容であってはならず、自社を差別化するものでなければなりません。作成したミッション ステートメントが、多くの同業他社にも当てはまる内容であるならば、優れたミッション ステートメントとは言えません。
ミッション ステートメントは、顧客やパートナーといった外部だけに向けたものとは限りません。会社が従業員のために行っていることをミッション ステートメントに含めることも可能です。
定期的にレビューおよび編集されるように設計された戦略計画の他の部分とは異なり、ミッション ステートメントは、ある程度の期間そのままの状態に保つ必要があります。
とは言え、ミッション ステートメントについても改善の取り組みは必要です。ワールドクラスの、可能な限り最高の、最先端の、最大化、成功した、といった陳腐な決まり文句や、曖昧で具体性のない表現は避けます。次に、戦略的プランニング委員会にレビューしてもらいます。
ビジョン ステートメントの書き方
会社が行うすべての行動は、そのビジョンに貢献します。ビジョン ステートメントは、会社が長期的に達成したいことを説明するとともに、従業員を鼓舞し一致団結させるのに役立ちます。
「ビジョンとは、会社にとって望ましい未来や達成したいことについての、最上位に位置付けられるステートメントです。」と、マックナーニ氏は説明します。
明確なビジョン ステートメントは、すべての関係者が会社の意義と目的を理解するのに役立つものであり、会社の方向性を示すと同時に、従業員を勇気付け、鼓舞するものでなければなりません。またビジョンと一致しない要素を排除するのにも役立ちます。
ビジョン ステートメントは、数センテンス程度の長さにまとめる必要があります。また、記憶に残りやすく、具体的で、野心的なものである必要があります。しかしながら、野心的であることと、夢物語であることは紙一重です。ビジョンとは、戦略計画の後半で概説する目標や中間目標に従うことで、確実に達成可能なものでなければなりません。
正確なビジョン ステートメントを作成するには、会社の目標や中間目標を知る必要があるため、会社の方向性に関する詳細な情報が得られるまで、ビジョン ステートメントの作成を待つ必要があるかもしれません。
ビジョン ステートメントを作成する際にチームに尋ねるべき質問を以下に示します。
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コミュニティや業界にどのような影響を与えたいか。
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会社として他者とどのように関わっていくか。
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会社の文化はどのようなものであるか。
どの会社や業界にも当てはまるような、漠然としたステートメントは避けてください。たとえば、「素晴らしい体験を提供する」といったフレーズは、多くの業界に当てはまります。現在形で書き、陳腐な決まり文句を避け、明確で簡潔な表現を心がけます。
ビジョン ステートメントは、以下を達成するものでなければなりません。
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士気を高める。
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成功に焦点を当てる。
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約 5 ~ 10 年先を見据える。
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組織の目標や価値観から逸脱しない。
ビジョン ステートメントを作成したら、社内の全員に伝えます。ビジョン ステートメントは、従業員が簡単に理解し、暗唱できるものである必要があります。また社内外の環境の変化に応じて、変更することも可能です。
ミッション ステートメントとビジョン ステートメントの違い
ミッション ステートメントとビジョン ステートメントはどちらも重要ですが、その目的は大きく異なります。
ミッション ステートメントは、会社の存在理由を示すものであり、ビジョン ステートメントは士気を高め、方向性を示すことを目的とします。ミッション ステートメントは現在に関するものであり、ビジョン ステートメントは将来についてのものです。またミッション ステートメントは行動すべき項目を示し、ビジョン ステートメントは目指すべき目標を示します。
ミッション ステートメント | ビジョン ステートメント |
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会社が現在行っていることに焦点を当てる | 会社のあるべき姿に焦点を当てる |
会社を前進させる | 会社の方向性を示す |
ビジネスの変化に応じて変更される可能性がある | 会社の基盤と結び付いているため、頻繁に変更すべきではない |
たとえば、ビジョン ステートメントが「空腹のまま寝る子供をなくす」である場合、付随するミッションは、市域内にフード バンクを提供することです。
多くの組織はミッション ステートメントとビジョン ステートメントの両方を有しますが、これは必須ではありません。「あらゆる組織がビジョン ステートメントを有するわけではありません。」とマックナーニ氏は言います。「組織によっては 1 つのステートメントだけが存在します。」
ステートメントを 1 つだけにする場合について、マックナーニ氏は次のようにアドバイスしています。「ステートメントが 1 つだけの場合は、何を (行うのか)、どのように (行うのか)、なぜ (行うのか)、誰のために行うのかを含める必要があります。」
プランニング プロセス中に、これらの重要なステートメントが変更される可能性があります。「プロセスの早い段階で、何を行うのか、なぜ行うのか、どのように行うのかについて話し合う必要があります。到達したい地点を理解しているつもりで、実はよくわかっていないこともあります。」とマックナーニ氏は言います。「プランの内容とプロセスの両方について柔軟性が必要です。」
業界についての書き方
ビジネス計画の策定にあたっては、周りを見渡すことが大切です。社内にはどのような問題が存在するか、競合他社は何をしているか、ターゲット顧客は誰か、といった点を明らかにする必要があります。
「(徹底的な業界分析を行わないのは) 砂の中に頭を突っ込んだまま計画を立てているようなものです。周りの世界を見渡さなければ、意思決定に必要な幅広い情報を得られません。」と、マックナーニ氏は助言します。
自分の業界について書くことは、成長のための新たな機会を見い出し、それらの機会を活用するためにどのような変化が必要かを理解するのに役立ちます。主要な競合他社を特定し、その強みと弱みを明らかにします。この分析を行うことで、自社が何を最も得意としているのか、また競合他社と比較してどうなのかを把握できます。自社が何を得意とするのかがわかれば、その強みを生かすことが可能になります。
このセクションには、SWOT (強み、弱み、機会、脅威) 分析も含まれます。また、このセクションの作成に役立つ多くのテンプレートも用意されています。
次に、ターゲット顧客を特定します。顧客が何を望み、必要としているのか、また顧客が求めているものをどのように提供できるかを考察してください。競合他社がターゲット顧客を引き付けているか、それとも自社にニッチな差別化要因があるかも検討します。
業界分析には費用がかかりますが、多くのメリットを得られます。「(徹底的な業界分析) には時間と経費がかかりますが、業界についての理解不足は、組織の将来に多大な影響を及ぼします。周囲で何が起こっているのかを知らなければ、競争力を維持することはできません。」とマックナーニ氏は説明します。
戦略計画の目標と中間目標の書き方
このセクションは戦略計画の大部分を占めます。多くの人が目標 (goal) と中間目標 (objective) を混同し、この 2 つの用語は交換可能だと考えている一方で、この 2 つは明確に異なると主張する人も少なくありません。次のように考えることができます。
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目標 (goal): 目標は、会社として達成したいことを大まかに記述したものであり、通常は定性的です。これらは目指すべき地点を説明するもので、短期的なものから長期的なものまであります。
-
中間目標 (objective): 中間目標は目標をサポートするもので、通常は定量的で測定可能です。中間目標は、目標で概説されている地点に向けた進捗状況を測定する方法を示します。1 つの目標を複数の中間目標でサポートすることも可能です。
目標 (goal) | 中間目標 (objective) |
---|---|
範囲が広い | 範囲が狭い |
大まかな方向性、大まかなアクション | 具体的な方向性、具体的なアクション |
抽象的 | 具体的 |
定性的 (必ずしも測定可能ではない) | 定量的 (簡単に測定可能) |
長期的 | 短期的 |
たとえば、戦略的プランナーとして成功を収めるのが目標の場合、戦略計画の全セクションを 1 か月で書き上げることが中間目標となります。
iBossWell, Inc. のマックナーニ氏は、目標 (goal) と中間目標 (objective) という用語や、その他の多くの戦略的プランニングのコンセプトには、厳格な定義がないことを繰り返し指摘しています。「私はこれらの用語の定義を確立するつもりはありません。目標 (goal) と中間目標 (objective) はよく耳にする用語ですが、人によってその意味は異なります。ある人が目標 (goal) と呼ぶものを、別の人は中間目標 (objective) と呼びます。またある人が中間目標 (objective) と呼ぶものを、他の人は KPI と呼ぶこともあります。」大切なのは、組織内での用語の意味を明確化して、主要な関係者にその定義を説明し、定義を遵守することであると同氏は説明します。
目標の書き方
目標は戦略計画の基礎となるものです。目標は優先順位とイニシアチブを決定する重要な要素であり、計画を通じて何を目指すのかが定義されます。プランニングの専門家の中には、目標を指して、戦略的目標や戦略的優先順位という用語を使用する人もいますが、この記事ではわかりやすいように目標という用語で統一しています。
「(目標は) 概要レベルであり、優先事項に関するいくつかのステートメントを含んでいます」とマックナーニ氏は説明します。多くの場合、目標は計画の階層のトップ近くに位置します。
個々の目標は、戦略的プランニング プロセスの分析フェーズで明らかになった事項を反映したものでなければなりません。また長い叙述ではなく、正確で簡潔なステートメントである必要があります。以下に目標の例を示します。
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ケース バックログを削減する。
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生産コストを削減する。
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総収益を増やす。
個々の目標には、成果と期限が明記されている必要があります。目標の作成にあたっては、アクション + アクションの詳細 + 測定可能なメトリック + 期限 = 目標という数式で考えてください。たとえば、2020 年の第 3 四半期までに 3 つの製品領域で総収益を 5% 増加させる、といった形です。
別の方法として、動詞 (アクション) + 形容詞 (説明) = 名詞 (結果) と捉えることもできます。たとえば、Web サイトでの資金調達を増やす、といった目標です。
目標は、野心的であることと具体的であることのバランスを取る必要があります。限界を広げることは大切ですが、達成が難しすぎてはなりません。また目標は、組織全体および関係者が記憶し、理解できるものでなければなりません。
期間の異なる目標についても考察してください。5 ~ 10 年を要する目標もあれば、より短い期間 (時にはごく短時間) で達成可能な目標もあります。四半期、月、週単位の目標も考えられます。ただし、あまりにも多くの目標を設定してはなりません。会社の成功に欠かせないものに的を絞ることが大切です。それぞれの目標には、複数の中間目標とアクション ステップが付随する点にも留意してください。
中間目標の書き方
中間目標とは、目標を達成するための道しるべとなるものです。中間目標の設定には、達成できたかどうかが明白な目的とステートメントが使用されます。
目標 (goal) は到達すべき地点を示すものであり、そこに到達する方法を決定するために、各目標をサポートする複数の中間目標を設定する必要があります。中間目標は複数の領域にまたがる可能性がある点に留意してください。
「計画を成功させるためには、計画の実装要素が必要です。」とマックナーニ氏は言い、中間目標を戦術、アクション、その他多くの異なる用語で呼ぶ人もいると付け加えています。
中間目標は定量的で測定可能であるため、多くの場合、増加または減少という単語で示されます。中間目標は達成できたかどうかが非常に明瞭で、(開始日と終了日が設定されることの多い) アクション アイテムです。
先ほど挙げた、「2020 年の第 3 四半期までに 3 つの製品領域で総収益を 5% 増加させる」という目標例について考えてみましょう。この例では、次のような中間目標が考えられます。
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毎月 3 人の新しい潜在的クライアントにアプローチする。
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Web サイトと電子メール ニュースレターで 3 つの主要な製品領域を宣伝する。
中間目標を考える際は、SMART という頭文字に留意してください。すなわち具体的 (Specific)、測定可能 (Measurable)、達成可能 (Achievable)、現実的/関連性がある (Realistic/Relevant)、期限付き (Time-bound) であることが大切です。
戦略プランナーの中には、このプロセスをさらに細分化して、戦略と戦術という用語を使って中間目標の達成方法をラベル付けする人もいます。この場合、戦略とは、中間目標を達成するために使用するアプローチや手法を意味します。一方戦術とは、戦略の達成 (ひいては中間目標の達成) に寄与する、具体的な活動やプロジェクトです。
能力、業務計画、マーケティング計画、財務計画の書き方
目標と中間目標を定義できたら、次に誰が何をするのか、そうした活動をどのように市場に売り込むのか、必要な資金をどのように調達するのかを考えなければなりません。
「(能力や財務についての考察を省略して) プロセスを短縮することには、大きなリスクが伴います。」とマックナーニ氏は指摘します。「計画により発生する追加のコストや収益を考慮しなければ、実施不可能な計画が作成される可能性があります。」
戦略計画で概説されているすべての目標を達成するには、適切な人材が欠かせません。戦略計画内に、組織の能力について説明するセクションを設けてください。目標達成に向けた中間目標を達成するために必要な人材はいますか。いない場合は、人材を雇用する必要があるかもしれません。
業務計画はイニシアチブについての計画を立て、誰が何を、いつ、どのように行うかを示すものです。これは目標と中間目標を現実に変えるのに役立ちます。業務計画の概要を戦略計画に盛り込む必要があります。組織の包括的な実装計画の作成に関するサポートが必要な場合は、プロセス全体をガイドするこの記事をお読みください。
マーケティング計画は、見込み客を引き付け、顧客に変換する方法を説明するものです。戦略計画に詳細なマーケティング計画を盛り込む必要はありませんが、要約を含めることが推奨されます。マーケティング計画の作成に関する詳細については、この記事をご覧ください。
次に財務面を考察します。すべての目標を達成できれば理想的ですが、資金が足りない場合も少なくありません。財務計画は、優先順位を設定するのに役立ちます。財務計画に取り組む上で役立つこれらのテンプレートをご覧ください。
業績評価指標の作成方法
戦略計画で概説した目標に到達できたかどうかを知るには、業績評価指標が必要です。これらの指標は、成功がどのようなものであるかを明らかにし、説明責任を果たす上で役立ちます。進捗状況を定期的に評価しなければ、戦略計画は失敗する傾向があります。
重要業績評価指標 (KPI) は、ビジネスの進捗状況を示すことができます。KPI には財務的な指標と非財務的な指標の両方があり、進捗状況を把握したり、活動が思うように展開されていない場合に是正策を講じたりするのに役立ちます。KPI に類似したその他の用語には、パフォーマンス指標や業績評価指標があります。
業績評価指標は必ずしも財務的なものではありませんが、定量化が可能でなければなりません。たとえば、Web サイトの訪問者、連絡フォームに記入した顧客、成約に至った提案の数などの追跡は、いずれも業績評価指標であり、目標の達成に向けて正しい軌道を進む上で役立ちます。
業績評価指標を作成する際は、次の点に注意してください。
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結果を報告する頻度を定義します。
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すべての KPI は何らかの測定手段を必要とします。
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測定の手段と期間を明記します。
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測定および追跡する情報を入手するデータ ソースに注意します。
ASP のストックマル氏は、業績評価指標の選択について、次のように自問することを推奨しています。
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業績指標を管理できているか。
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業績指標は戦略的成果をサポートしているか。
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実行可能か。
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データは利用可能か。
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誰がどのようにそのデータを収集しているか。
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データはタイムリーか。
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データを費用効率よく収集できるか。
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目標は定量化が可能で、継続的に測定できるか。
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ターゲットは現実的で期限が設定されているか。
ストックマル氏はまた、業績評価指標は、他を犠牲にして 1 つのことにのみ焦点を当ててはならないと述べています。「改善に役立つ情報を失ってはなりません。」と同氏は言います。また同氏は、1 つの KPI に集中しすぎると、目標達成に向けた取り組みが短絡的になり、他の領域の業績に悪影響が生じる可能性がある、と付け加えています。
一部の業績評価指標は、戦略計画に組み入れることができますが、組織のために別の目標を設定することも可能です。KPI ダッシュボードは、業績目標の設定と追跡に役立ちます。KPI ダッシュボードのセットアップに関する詳細については、この記事をお読みください。
戦略計画の伝達
戦略計画を作成する際には、その共有方法を考える必要があります。せっかくの計画も、棚に置かれたまま誰も読まなければ意味がありません。
計画全体の物理的コピーを誰に渡す必要があるかを決定します。これには、経営陣、取締役会、所有者などが含まれます。また競合他社に知られないよう最善を尽くすことも必要です。社外に配布する場合は、機密保持権利放棄条項を付加することをお勧めします。
計画は、次の方法で関係者に伝えることができます。
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会議を開き、対面で計画を提示する。
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会社のニュースレターで計画を取り上げる。
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新入社員のオンボーディングに計画を含める。
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従業員イントラネットに計画を投稿して、要点を示し、進捗を追跡する方法を紹介する。
会議を開く場合は、自分や他の主要なプランナーが、発生するフィードバックや議論に対応できるように準備しておくことが大切です。計画を擁護し、その主要な領域を補強できる必要があります。計画を配布する目的は、計画を成功させるために各自が果たすべき役割を、全員に理解してもらうことです。
会社のミッション、ビジョン、価値観を人々に再認識させて、その重要性を改めて強調します。ポスターやその他のビジュアルな方法を使って、オフィスの各所に掲示することも可能です。組織を成功させる上で自分が重要な役割を担っていると人々が認識するほど、戦略計画の目標を達成できる見込みが高まります。
戦略計画を作成する際の課題
前述のとおり、戦略的プランニングはプロセスであり、チームでの取り組みが必要になります。どのようなチーム活動もそうであるように、このプロセスには困難が伴い、
時には明白なことよりもコンセンサスが優先されます。同僚からのプレッシャーは強い力になる可能性があります。特に提案を行っているのが上司や他の管理職で、人々が同調圧力を感じている場合はなおさらです。人々の中には、計画の内容を最終決定する人にとって、自分の意見は重要ではないと考えて、意見を述べることに消極的な人もいるかもしれません。
また、1 人以上のメンバーが計画を重要視していない場合や、プロセスに賛同していない場合にも、チームのトラブルが発生する可能性があります。チーム リーダーは、こうしたトラブルが手に負えなくなる前に対処しなければなりません。
会社の文化とグループとしての準備状況に注意を払い、それに合わせてプランニング プロセスを調整してください。プロセスと最終成果物のバランスを取ることも必要です。
プランニング プロセスには時間がかかります。多くの組織が、適切な計画を立てるのに十分な時間をかけておらず、またプランニングが終わった後も、文書やプレゼンテーションの作成、さらには実施にも時間がかかります。計画をどのように実行に移すかを考慮して、多くの計画を立てすぎないように注意してください。たとえば、会社の能力や財務状況を考えずに、計画を策定してはなりません。
ストックマル氏は、多くの組織が将来や目標達成に集中するあまり、自社がそもそも持っている強みを忘れがちであると指摘します。ビジネス アーキテクチャが重要であり、ストックマル氏は「(ビジネス アーキテクチャとは) 組織が戦略を遂行するために必要な能力を構築すること」であると述べています。また同氏は、変革の推進に必要な作業を行う予算担当者がいなければ、何も実現されないと付け加えます。
収集する情報にも注意を払ってください。調査の段階で近道をしてはなりません。近道をすると、先に進んだ段階で問題のある情報が出てくる可能性があります。またネガティブな情報が出てきても、無視してはなりません。逆境を克服することは、会社が成長するための 1 つの方法です。
プランニングにあたり、過去年の計画や他の類似組織の計画を流用する際には注意が必要です。すべての会社にはそれぞれの個性があります。
そして言うまでもありませんが、プランニング プロセスから得られる情報を無視してはなりません。調査の結果、望んでいる方向に進むべきではないと判明する可能性もあります。
さまざまな種類の戦略計画の作成
戦略的プランニング プロセスの詳細は、組織によって異なりますが、基本的なコンセプトは変わりません。非営利団体であれ、学校法人であれ、営利団体であれ、戦略計画においては組織の現在地、および目指すべき地点にどのように到達するかを検討します。
非営利団体の戦略計画の作成方法
非営利団体にとって、戦略計画を作成する主な目的は、ミッションを最善な形で進める方法を明らかにすることです。そのため、組織に適合するミッション ステートメントを書くことが大切になります。
すべての戦略計画に含まれる SWOT 分析やその他のセクションに加えて、非営利団体の場合は、資金調達などの変動する要因にも目を配る必要があります。資金源の中には、始まりと終わりが決まっているものもあります。多くの場合、非営利団体にとって戦略的プランニングは継続的なものです。
非営利団体は、その理念について、コミュニティに関心を持ってもらう必要があります。営利組織では、マーケティング部門が会社の製品やサービスを宣伝し、新たな収益を生み出す責任を担っています。これに対して非営利団体の場合は、自身のメッセージを伝えることが、戦略計画の一部となります。
非営利団体では、経済的利益以外の目標に焦点が当てられることが多いため、評価方法や KPI を考えるのが難しい場合があります。たとえば、ある薬物乱用防止連合は、10 代の若者が酒や薬物に手を出すのを阻止することに取り組んでいます。この組織の手法が機能しているかどうかを数値で証明するのは、簡単ではありません。
このテンプレートは、非営利団体の戦略計画をビジュアルな形で概説するのに役立ちます。
非営利団体戦略計画テンプレートをダウンロード
学校の戦略計画の作成方法
学校の戦略計画には、学生、教師、その他のスタッフ、保護者など、さまざまな関係者が関与するため、作成が難しい場合があります。
学校における戦略的プランニングには、探索する市場、生産する製品、獲得するクライアント、調整可能なタイムラインなどが存在せず、他の業界のプランニングとは異なるものになります。学校では多くの場合、境界、ミッション、予算が設定されています。
このような違いがあっても、学校においても、他のタイプの組織と同様のプランニング プロセスと構造が必要になります。
このテンプレートは、大学や学校が戦略計画の概要をまとめるのに役立ちます。
5 年間の戦略計画の作成方法
戦略計画の期間に決まりはありませんが、スイート スポットとなるのは 5 年間です。1 年ごとの計画では、常にプランニング プロセスに追われることになり、一方 10 年間では長すぎる可能性があります。
あらゆる戦略計画に含まれる基本的なセクションに加えて、5 年後を予測する場合は、1 年後と 3 年後のチェックポイントを計画に盛り込み、進捗状況を断続的に追跡できるようにします。
3 年間の戦略計画の作成方法
一般的に戦略的プランニングのスイート スポットは 5 年間ですが、3 年間の計画を作成することを選択する組織もあります。遠い将来の予測は、特に新しい会社や変化の速い会社にとって、困難な場合があります。
3 年間の計画では、目標と中間目標が短い時間枠で設定されるため、より頻繁な監視が必要になります。これらのチェックポイントも計画に組み込みます。
「現在、ほとんどの組織が 3 ~ 5 年の計画を立てているのは、テクノロジーとビジネスの変化が極めて動的であることを、多くの組織が認識しているためです。」とストックマル氏は言います。
部門戦略計画の作成方法
部門の戦略計画を作成する最初のステップは、会社の全体的な戦略計画に目を通すことです。部門の計画は全社的な戦略に沿ったものでなければなりません。
部門の計画を作成するステップは、全社的な戦略計画と同じですが、ミッション ステートメント、ビジョン、SWOT 分析、目標、中間目標などは、部門内の人々に特化したものとなります。個々の人員に目を向けて、そのコア コンピテンシー、強み、能力、弱みを考察します。その上で、目標を達成するために必要なタスクや戦術を担当する人を割り当てます。
前年度の計画を入手できる場合は、部門が目標達成にどのように取り組んだかを参照してください。それに応じて新しい計画を調整します。
部門計画を作成できたら、必ず会社全体の計画の責任者に提出してください。何らかの変更が必要になる可能性があります。
プロジェクトのための戦略計画の作成方法
戦略計画は全体像を示すものであり、特定のプロジェクトのためのものではありません。プロジェクトについては、戦略計画ではなく、プロジェクト管理の範疇になります。
問題が発生しているプロジェクトがあり、それを好転させる必要がある場合は、この記事が役立つかもしれません。
パーソナルな戦略計画の作成方法
戦略計画は、ビジネスのためだけのものではありません。仕事とプライベートのためのガイドとして、パーソナルな戦略計画を作成することも可能です。鍵となるのは、自分にとって大切なものを含めることであり、このプロセスは時間と内省を要します。
自分自身を発見するには覚悟が必要です。自分の強みと弱みを探ることになるので、嫌なことが見えてくるかもしれません。自分に正直であることが大切です。自分自身に対する SWOT 分析は、その覚悟さえあれば、正直なフィードバックを得られます。
まずは自分の現状を見つめることから始めます。現状に満足していますか。より多く行いたいこと、減らしたいことは何ですか。人生で最も大切なものは何ですか。家族、幸福、健康といった言葉よりも、より踏み込んだ考察を行ってください。この作業は、自分の価値観を明確にするのに役立ちます。
自分にとって何が大切なのかがわかったら、その価値観を反映した個人的なミッション ステートメントを考えてみましょう。ビジネスの場合と同様に、このステートメントは将来における意思決定に役立ちます。自分のミッションに適合しないことは、すべきではありません。
SWOT 分析とミッション ステートメントのプロセスで発見した情報を使用して、自分の価値観に沿った目標を設定します。目標は大まかなもので構いませんが、目標達成に役立つアクション アイテムやタイムフレームを含めることを忘れないでください。
評価部分については、どのように責任を負い、正しい軌道を保つかを明確にする必要があります。計画を思い出させてくれる人、カレンダーのリマインダー、目標を達成したときのささやかなご褒美など、自分に合った方法を使用できます。
以下は、個人の戦略計画に関するその他のアドバイスです。
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自分でコントロールできることとできないことがあります。自分が対処できることに、絶えず焦点を当てることが大切です。
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何を諦めるかではなく、ポジティブなことに目を向けましょう。たとえば、体重を減らすことに集中するのではなく、より健康になることを目指します。
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過度なコミットメントは禁物であり、また目標達成に役立つ些細なことを無視してはなりません。
何があっても、挫折にくよくよせず、成功を祝いましょう。
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